学校現場×特別支援×働き方改革について考えるブログ

現役教員にしか書けないことを・・・。

2023年度 ボツネタまとめ ~授業や学級活動などで使わなかったけど、いつかは使いたい~

私は、「新しい発想だな!」「面白い」「授業で使えるかも?」という小ネタを、テレビやラジオ、新聞などのメディアで発見したときに、仕事用の手帳に書き込むことにしています。

 

今回はその中から、ボツ(不採用)となったネタについて自分の備忘録を兼ねてまとめます。

 

 

1 「花和紙 -invisible flower-」

 和紙の中に花をすき込んでいる商品です。ここで使われる花は廃棄される予定だったもの。SDG’sの環境学習として、または、中学社会で言えば、これによって経済にもたらす変化(捨てられていた花に価値が付けば、花の販売価格が低下するかもしれない、和紙についた「付加価値」、etc)について考えさせる授業がありえるかもしれない、と思いメモをしました。

 

参考URL ツグモノ[TSUGUMONO] - 「花和紙 -invisible flower-」販売開始しました。

 

2  日本だじゃれ活用協会

 「だじゃれは世界を救う」が合言葉だそうで。国語の授業や、教員研修の講師として「だじゃれんじゃー」を招くこと、そして純粋に職場を和ませることに役立ちそうだな、と思いメモをしました。

 

参考URL 日本だじゃれ活用協会 - だじゃれは世界を救う!

 

3 腸活ミニ野菜(あえて小さく作り、まるごと食べる野菜)

 もとは農家ではなかった人たちによる、無農薬・無化学肥料・無加温栽培を目指す取り組みです。家庭科や食育の授業で、または社会科の農業人口が減っていることに関する授業の中で使えるネタかな、と思いメモをしました。

 

参考URL 腸活ミニ野菜のこと | 自宅でできるぬか漬け「腸活ミニ野菜」

 

4 フィッシュレザー

 捨てられていた魚の皮をなめして、製品にする企業「tototo」

 これもSDG’sの環境学習に使える小ネタかと。魚の皮なのに、臭くなくて丈夫な「革」になるなんで驚きです。

 

参考URL   製品ができるまで – tototo

 

5 タオルのホコリから作った着火剤!?

 今治タオルを作る過程で出る「ホコリ」。今まで捨てていたものを売ってしまおうというこの発想力がすごい。これもまたSDG’sですね。

 

参考URLその1 カラフルな着火剤「今治のホコリ」が話題!タオルから出たゴミでできていた | 焚き火・火おこし道具 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

参考URLその2 タオル工場のほこりが!産地今治の知恵で生まれた着火剤 | NHK | ビジネス特集 | 環境

 

6 注文に時間がかかるカフェ

 吃音の人が働くカフェ。「時間がかかる」ことを店名にしてしまうという、この発想力! これにより、理解のある人や急いでいない人しか入店しないので、吃音の人が安心して働けます。発達障害やトゥレット症候群などが近頃メディアでも話題になっています。吃音の人がいる、ということも社会がきちんと理解するようになってほしい。

 道徳の中で「多様性の理解」を進める授業展開ができないか、と思いメモしました。

 

参考URL 注文に時間がかかるカフェ | Slow Order Cafe

 

7 「UMAMI EGG」(植物由来100%、玉子の代替品に)

 卵アレルギーの人でも食べられる。ヴィーガンの人でもOK。牛乳の代わりは豆乳があり、小麦粉の代わりは米粉があるが、卵の代わりはなかった!

 ニッチな業界ではあるため販売数などが大きく伸びるかは分からないが、今後さらに有名になるかもしれない。

 「他人がやっていないことをやる」という商売の基本を示すエピソードとしてメモ。

 

参考URL   製品 — UMAMI UNITED

 

8 ミズニゴール

 稲作で使う農薬を減らすため、水田の水を濁らせることが、雑草の発生を防ぐのに効果的だそうです。そこで、AIを搭載したロボットを水田に走らせて、水を濁らせる。その名も「ミズニゴール」!! ネーミングセンスもすごい。

 ちなみにこのロボットをつくった会社は「ハタケホットケ」。ちなみのちなみに「シカニゲール」もあるとのこと。詳細はリンク先を確認してください。

 SDG’sや社会科の農業人口が減っていることに関する授業に使えるという点では「腸活ミニ野菜」と同じです。

 

参考URL 株式会社ハタケホットケ

 

9 アートトワレ(災害用トイレ)

 防災は大切なテーマですが、いざ準備するとなると面倒だったり、保管場所に困ったり。そこで、災害用トイレを「アート」として積極的に飾れるようにしてしまおうというすばらしい発想です。

 防災教育、「売れる製品をつくるには」という社会の授業に使えないかな、と思いメモしました。

 

参考URL アートトワレ【公式】Artwalet - アートな防災

 

10 ゾンビ・パンデミック

 近畿大学「ゾンビ研究所」による、合意形成のための。研修プログラム。学級レク、エンカウンター的にできないかな?と思ってメモしました。

 「街にゾンビが発生したら」というだれもが未経験のストーリーなので、年齢が大きく離れていても参加しやすいのが特徴らしいです。

 

参考URL 

近畿大学「ゾンビ研究所」とあそび総合カンパニー IKUSAが共同開発 企業向けゲーム型人材育成プログラム「ゾンビパンデミック」をリリース ゾンビに襲われるシチュエーションで合意形成を学習 | 株式会社IKUSAのプレスリリース

 

まとめ

 教員にとっては、教育課程をこなすことが最優先であるため、上記の小ネタを使用するハードルは低くはありません。しかし、今後機会があれば使いたいネタです。この記事をご覧になった先生方はぜひ、使用場面を考えて実践をしてみてはいかがでしょうか。私も来年度使えないか、考えてみようと思います。

個人的に働き方改革を実施してみた話 ~部分休業編~

今回は働き方改革を個人的に実践した話。

 

数年前、妻の育休明け&職場復帰に合わせて「部分休業」を利用してみた話を簡潔にまとめます。

 

 

 

1 部分休業とは

 

 Q1 部分休業とはどのような制度ですか? A1 育児と仕事の両立を図るため,職員が小学校就学に達するまでの子を養育する 場合,公務の運営に支障のない範囲で1日の勤務時間の一部を勤務しないことが できる制度です。

 

宮城県HPより抜粋~

https://www.pref.miyagi.jp/documents/16961/3-bubunnkyuugyou.pdf

 

 上の通り、勤務時間を短縮する制度です。未就学児の子どもがいる場合に利用できます。夫婦そろっての利用も可能です。私の場合、週に1日1.5時間、勤務時間の最後に取得しました。妻は、別の曜日で2日間、1日あたり2時間、勤務時間の最後に取得しました。

 

 中学に勤務していたので、私は毎週、このコマを空き時間にしてもらい、STも学年の先生にお願いして早く帰っていました。ちなみに、早く帰る分、給料は減額されます。この話はまたのちほど。

 

 

 

 

2 私が取得することになった経緯

 

 妻の職場復帰&下の子の保育園デビューという、一家の大混乱をどう収めるか。

 

夫婦そろって仕事が激務(妻も教員です)になるのは承知の上。でも、下の子をなるべく早く迎えに行きたいし、私も家事を担当しなければ家庭は回りません。

 

妻は早くから部分休業を取得することを決めていたようです。

 

 一方私は、妻が管理職からもらった資料を見て、夫も同時取得できることを知り、少し悩んだ末に部分休業取得を決断。

 

 理由についてはいくつかありますが、

 

 ・ 妻の(精神的・時間的な)負担を少しでも減らす。

 

 ・ 中学勤務ならば使い勝手の良い制度(空き時間固定できる)

 

 ・ 次年度、ほぼ転勤でないことが分かっていて、しかも持ち上がりの学年を担任できそう。

 

 ・ 部活の曜日にかぶせてしまえば、合法的に部活指導にでなくてよい。(ごめんなさい)

 

 ・ 未就学児をもつ親のための制度ではあるものの、上の子(小学生)の習い事の曜日にかぶせれば、早く習い事に連れていけて、保育園も迎えに行ける。一石二鳥。

 

といったことが主な理由です。

 

3 良い制度…なのか?取ってみた感想

 まず、「育児短時間勤務(通称「育短」)」という制度もあります。これを取得するとなると、管理職は講師を探さなくてはならなくなるようです。教員不足が当時から話題になっていましたし、今からお願いするにはちょっと急かな?講師見つからないよね?という遠慮もあり、我が家では夫婦そろって部分休業を選択しました。

 それなりに良い制度で、空き時間をうまくあてたり、最悪自習にしたりするなど、学校内での柔軟な対応が可能だと思いました。

 また、取得したことで、時間を意識した働き方が身につく良いきっかけにもなりました。休み時間の5分でできることはないか考えたり、「放課後の〇〇分は  をしよう!」という計画を立てたり、何にどれだけ時間がかかるか把握したり。私にとってはよい刺激となった1年でした。

しかし、私の部分休業は、下の子が順調に保育園に慣れたことや、上の子の習い事の曜日変更により、一年で終了することになりました。その後は引き続き同じ曜日に定時で帰るようにして、お迎えや晩御飯の支度などを担当しています。

 

 次に給料について。これはシビアです。知っていましたか?先生方!(気迫強め)

私たちは時給で働いていたんですよ!!(・o・)!!ドーン

 この制度、休んだ分が次の月から引かれます。つまり、私の場合、(時給)×1.5(時間)×4(回)というお金を払って、休ませてもらうという制度なのです。

 

一年で部分休業が終了になったため、3月の減額分(勤務しなかった時間分)は現金で振り込むように事務の方から言われました。それまでは給料表に「マイナス〇〇〇〇円」とは書かれていなかったので、いくら減っているかわかりませんでした。引かれる金額が分かったので、勤務しなかった時間から逆算することで、私は(その年の)自分の時給を把握することができました。(因みに2300円ほどです。)

 

 余談ですが、給料表の「給料」って毎月微妙に違うんですよね。ずっと何でだろう、と思っていたのですが、きっと月当たりの労働日数が違うからなんだ、と妙に納得。

 

 繰り返しますよ。部分休業は「お金を払って休む(早く帰る)」制度です。おかしいですよね?おかしいんですよ。理不尽極まりないぞぉ!!だって

校務分掌も担当時間数も全然減ってないし!

しかも、いくら仕事を持ち帰ったと思っているんだぁ!!

 

というわけで、悪くはない制度ですが、早く帰る分、持ち帰りの仕事量が増えたこと、結局は周りの職員の仕事を増やしたことがモヤモヤポイントです。簡単に言えば、気軽にフォローしてもらうための人の手が足りない、労働時間に対する仕事量が多すぎる、という分かり切った結末でした。

 

おまけ

 

私たちの世代は、共働きが普通になった最初の世代だと言えます。

少なくとも、私たち夫婦は共働きの家庭では育っていません。

理想となるモデルが乏しい中で、夫婦共に働きながら子供の習い事・家事をこなすのは、とてつもなく難しい。

妻は自分が子供のころのように、子どもに習い事をさせたいようですが、そもそもそんなことは可能なのか?と私は妙に冷たく考えてしまいます。無理でしょ時間的に。と。

 

そんな中、若い世代向けに「共働きの父・母」を見せることが、私たち世代の宿命なのだなぁと思います。苦労した部分休業も、その一つになっていれば幸いです。

「二重学籍」を認める制度変更を!~真のインクルーシブ教育のために~

「二重学籍」をweb検索すると、「同一の人物が2つの大学等で学籍を得ること」などと、二つの大学に在籍することを禁じる話がヒットします。

 

しかし、ここで私が主張したいのは、小学校・中学校・特別支援学校、つまり義務教育期間において「限定された条件のもとで、二重学籍を認めてほしい」ということです。現状では、例え1日であっても、二つの学校・学級に在籍することができません。このルールによって、児童生徒及び保護者が不利益を被る場合があります。いくつかのケースに分けて説明します。

 

 1 「院内学級」と「元の学校」

 様々な(精神的・肉体的)病気により、数週間~数年間、入院する子どもがいます。

 そういった子どもが、入院期間中の学習の遅れを生まないため、または遅れを取り戻すために、病院の中にある「院内学級」の授業を受けることがあります。

 院内学級では、病状をふまえて無理のない学習指導を行うだけでなく、児童生徒の不安を取り除くための働きかけをしたり、それまで通っていた学校の担任の先生と連絡をとったりと専門的な見地から適切な教育を行うことができます。

 このような院内学級ですが、多くの場合、近くにある特別支援学校の一部とされており、院内学級での授業を受けるために、児童生徒は「転校」する必要が出てきます。つまり、「転出→転入」の手続きをとることで正式に院内学級の授業を受けることができるのです。

 子どもや保護者にとって、この院内学級は「一時的にいる場所」であり、元いた学校は「本来いるべき自分の学校」です。このことから、「子どもに転校の事実を伝えられない」と言う保護者や、「転校が必要ならば院内学級での勉強をしない」と言う児童生徒が出てくるのは自然なことです。

 元の学校に在籍したまま、院内学級の授業を受けられるように制度を変更し、児童生徒と保護者が安心して治療や教育を受けられるようにしてほしいと考えています。

 

 2 「特別支援学校(盲・聾・知的・肢体不自由など)」と「地元の小中学校」

 2022年9月9日、日本は障害者権利条約に基づく審査を受け、国連から勧告が出されました。ここでは日本の特別支援教育が全否定されており、これまでの「障害者は特別支援学校へ」という全体的な構造を鋭く批判しています。

 障害を抱える児童生徒が特別支援学校で専門的な教育を受けることは、将来の自立に向けて重要なこともあるでしょう。しかし、特別支援学校しか選べなかった、という不幸な出来事はなくなるべきです。その意味でこの勧告は画期的であり、日本の特別支援教育が全面的に改善されることが望ましいと、私は考えています。

 ただし、納得して特別支援学校へ入学したケースがあるとして、その児童生徒が完全に地元の学校と縁が切れてしまうようでは、義務教育期間終了後の地域のサポートが受けられない恐れもあり、これも大変な課題です。

 特別支援学校にも在籍しつつ、地元の学校にも籍があり、日によっては一緒に時間を過ごすイベントが開ければ双方に様々なメリットがあります。一般の小中学生には「障害とは何か」を考えるきっかけを作れます。障害者への良い接し方を学べることもあるでしょう。義務教育期間終了後も、地元で障害者が困っていたら、「〇〇くん、大丈夫?」などと声をかけることができるかもしれません。障害者側も、知っている人なら安心してサポートを頼めます。

 障害のある児童生徒・保護者が地元でのつながりを維持できるような制度を作りたいものです。

 

 3 「通常学級」と「特別支援学級

 ここまでは学校間の二重学籍についての話題でしたが、今度は同一学校内での在籍についてです。

 私が特別支援学級を担任していたとき、「通常学級に戻る」ことが目標の生徒がいました。知的な問題はなく、いかに多人数の環境に慣れるか、自分の怒りの感情をコントロールできるか、が課題でした。

 いきなりすべての教科を切り替えることはできませんので、練習が必要です。得意な教科から通常学級(交流学級)の授業に参加して、徐々に時間数を増やしていきますが、ここでも、二重学籍の弊害が出てきます。どちらかの学級に在籍しなければいけませんが、特別支援学級に在籍している生徒は、半分以上の時間数、特別支援学級の授業を受けなければならないというルールが存在するのです。

 順調に時間数が増え、半分を超えたら通常学級に「転籍」することができれば問題ないのですが、そううまくはいきません。通常学級での時間数を増やしたり減らしたりしながら徐々に慣らしていき、「これでもう大丈夫!」という段階で正式に「転籍」するのが自然です。しかし、上記のルールを厳格に適用すると、この「増やしたり減らしたり」するたびに、在籍を変更しなくてはならなくなります。(かなりの事務作業になります)

 現実に即した制度にするには、同一学校内での「特別支援学級」と「通常学級」の二重学籍を限定的に認めていくことが必要です。

 

 まとめ

 以上が「二重学籍」についての私の意見です。現場からの意見ではありますが、市町村レベルの制度変更で可能なのか、都道府県あるいは国レベルなのか、法律に疎い私にはわかりません。様々な方の理解を得て、改善されることを願っています。

 私は国連の勧告を読んで、「よくぞ言ってくれた!」と思いました。今回は現場の人間ではどうにもできないような話題でしたが、みんなが幸せになれるような真のインクルーシブ教育の実現に向けて、現場でできる小さな実践を今後も大切にしていきたいと思います。

教員の「残業」と「休憩時間」について考える

教員調整額を4%から10%に?というニュースをきっかけに、

教員の「残業」と「休憩時間」について考えます。

 

1 教員調整額4%と10%の意味

 教員は残業代が出ない代わりに、「教員調整額」が4%自動的に支給されます。

 一日の勤務時間を(正確には7時間45分だが、計算を楽にするために)8時間、勤務日をひと月当たり20日とすると、

 8×20×4÷100=6.4

 約6時間分の「残業代」が自動的に給付されています。

(※ あえて「割増率」は無視。割増率を計算に入れると6.4より小さくなります)

よって、「教員調整額4%」=「まぁ大体、ひと月の残業時間は6.4時間くらいだよね」という意味になります。

 

 6.4時間の残業時間は、一日当たり約30分!「んなわけないだろぉ」という全国の教員の叫び声が聞こえてきそう。

 

 朝、児童生徒が登校する前から出勤している教員は、朝の分だけでこの「調整額」以上働いています。部活動の指導を入れると…。

 

 これが10%になるとのニュースが流れました。うれしい!けれど。

 8×20×10÷100=16

 つまり、

「教員調整額10%」=「まぁ大体、ひと月の残業時間は16時間くらいだよね」

 これでも、一日当たり1時間にもなりません。15%くらいつかないと、割に合いませんよ。

 

2 教員の「休憩時間」の実際

  労働基準法第34条で、労働時間が 6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分 8時間を超える場合は、少なくとも1時間の休憩を与えなければならない、と定めています。

 

 当然、教員にも(形式上)休憩時間は設定されています。

私の勤務する職場は、

 「児童生徒の昼休憩の30分+勤務時間終了の少し前の15分」

と定められています。

 

 余談ですが、給食の時間は「給食指導」という名の勤務時間です。

 教員は、昼食を自由にとる権利が剝奪されています(笑)

 さらに、給食費はきちんと取られます。

(同じ額では外でランチなんて食べられないので、ありがたいといえばありがたい。)

 

 話を戻します。結論を先に言うと、休憩時間とされる45分に教員は休憩できません。中には、「今は休憩中だから」といって児童生徒と接しない教員もいる、と聞いたことがありますが、そんな人は稀。普通は相談があれば聞くし、宿泊行事の実行委員や、各種委員会などで児童生徒を集合させている場合もあります。

 

 この名ばかりの「休憩時間」に働いている分は、教員の「残業時間」調査に含まれていません。

つまり、定時に出勤し、定時に帰っていても、45分の残業をしている、と言ってもよいのではないでしょうか。

 

まとめ 「教員調整額」は圧倒的に足りない!

 4%から10%になるのは大変ありがたい。感謝します。

 しかし、それでも焼け石に水。まったく実態に合いません。

 だからといって、財政上、実際の残業時間に対して残業代を支給することも難しい。あとは仕事量を減らすしか、手段はありません。教員という職業の魅力を高めるためにも、学校としての活動内容を精選し、「生徒が学校にいる時間を減らす」ことが重要だと考えています。

 

 ☆おまけ 

と、もしヤフーニュースに以上のようなことを書きこめば、教員以外の人からは、「それでも給料たくさんもらっているだろ」「教員として内部から変えればいいじゃないか」という返信が返ってきそうです。(実際そんな雰囲気)

 今の給料が適正なのか。教員の中でも意見は分かれます。

 また、例えば、私が「掃除の時間を無くそう」というと、「自分で使う部屋を自分で掃除することで、大切に使おうとする心を育てられる」と反対されます。部活動も同じ。活動そのものに意義はあります。まずは教員の中に賛成者を増やしていかなければ、教員調整額がどうなろうと、何ら変わらないなぁと思う、今日この頃。

特別に支援が必要な児童生徒の保護者の考え方 2パターン

私は「すべての児童生徒に特別支援教育を!」と考えています。

しかし、今回は、一般的な意味で、「特別に支援が必要な生徒」の保護者の考え方について、大きく2パターンに分けてまとめました。

 

1 「特別な支援」を強く求める保護者

 例1「うちの子は・・・・・・という特性があって・・・。」

 例2「〇〇は苦手ですから、・・・してください。」

 

私は基本的に、保護者の方をリスペクトしています。児童生徒と一番長く時間を過ごし、誕生から成長を見守ってきて、最もその子を理解しているだろうと思うからです。

しかし、理解していることと、その子の成長に何が必要かを考えることは、別の問題です。

上の例1・2にあるような言葉を受けて、学校側が障害のある児童生徒に対して、特別に何かを認めることは少なくありません。

しかし、それがその子の成長につながるのか、教員はしっかりと考えて保護者と相談する必要があります。ときには、保護者を説得しなければならない場面もあるでしょう。

相手を尊重しつつ、成長のために何が必要か、保護者とともに知恵を出し合っていく、という姿勢が大切です。

 

2 「他の子と同じように扱ってほしい」(支援しなくていい)という保護者

例3「特別支援学級の生徒は部活動を選べないのですか?」

例4「家ではできているので、学校でも同じようにさせてください。」

障害があり、できないことがあることは、頭では理解していても、心のどこかで「他の子と同じもの」を求めてしまう保護者もいます。そんな保護者にはどのように接したらよいのでしょうか。

まず、この例3・4のような保護者の場合、自分の子どもの障害を受容できていない、もしくは、受容しきれていないことが考えられます。

「本当はできるはずなのに」「あと少しでできるのに」

というのはこの典型です。

多くの児童生徒を見てきている教員は、他の生徒と比較して、いい意味で「成長を予測」することができます

長い期間、家庭でその子を見てきた保護者は、その子の成長の可能性を過度に期待してしまうことがあるため、教員の考えとギャップが生まれてしまうのです。

家庭で、学校でできない工夫や環境が整えられている場合や、

学校側で、支援しないこと(特別扱いしないこと)が児童生徒の成長につながらない場合があります。

保護者の障害受容は難しい問題で、一筋縄ではいきません。教員側としては、保護者が受容できるように、非常に粘り強い対応が求められます。

教員は、冷静にこちらの考えを伝えつつ、

障害を受け入れられない保護者のことを「受容する」つもりで、「今はまだ受け入れられないんだな」と考え、心を広く接しましょう。

 

 まとめ 結局は「その児童生徒」を見ること、成長を願うこと

 障害があるとか、ないとか。

 家族構成がいびつだとか、そうでないとか。

 話が得意とか、まったく話せないとか。

 

100人いれば、背景や特性も100通り。誰にでも特別な配慮は必要だし、誰でも成長する権利があります。

私が「すべての児童生徒に特別支援教育を!」と考えるのは、こういった理由からです。

緘黙、色覚特性、発達障害、知的障害など、診断基準のあるものだけでなく、児童生徒のさまざまな特性をきちんと捉えた上で、

成長を促したり、指導したりする「教育のプロ」。それが教員です。

 

ただし、教育は保護者も巻き込んで行うもの。上の2パターンをふまえて、保護者と良い関係を創り、児童生徒の成長を共に見守っていきましょう!!

教員不足について考える

ここ数日、教員不足に関する記事が多くなりました。

現場の教員からすれば、何をいまさら…といった感じですが、現場でも人員不足の切迫感が増しているのは事実です。(教頭先生が担任をもつ、などの話はざらにある。)

今回は、教員のなり手不足とその対策について考えていきます。

 

目次

 

1 なり手不足

 教員は本当になり手不足なのか?

 教員採用試験の倍率を示した読売新聞の資料を見て考えてみましょう。

読売新聞オンライン 5/6(土) 17:20配信より


 小学校で最大12.5倍だった2000年度から、22年度は2.5倍に

 中学校で最大17.9倍だった2000年度から、22年度は4.7倍に、倍率は大きく下がっています。

 「狭き門」から「広き門」へと変わったことがうかがえるものの、受験者数自体は大きく減少していないことがわかります。

言うまでもなく、倍率は採用数に対する応募者の割合で決まるものです。団塊団塊ジュニアの世代による、年代間のアンバランスさがこの倍率の低下を生んだ(すなわち、2000年は採用数が少なく、2022年は多い)のであり、日本の社会構造の問題です。

あるいは、不景気による公務員人気、安定志向という要素も考えられます。これもまた、日本全体の問題。

 

 では、学校現場で起きている問題は何か。それは私が考える限り、二つあります。

一つは「少人数学級化」、もう一つは「何でも先生」です。

 

「少人数学級化」

 生徒指導面(問題行動や不登校対応)や学習指導面など、どれをとっても、少人数学級化は必要であり、働く側にとっても保護者にとっても児童生徒にとってもまさに「三方よし」です。これ自体は望ましい方向に進んでいます。

 2021年の法改正により、そもそも採用しなければならない人数が増えているのために、倍率の低下、すなわち「教員不足」が起きている可能性があります。

 

「何でも先生」

 もう一方は、「何でも先生」。これは、「先生が何でもやる」「何でもできる先生像」という意味です。

 タブレット端末の導入がいい例。

タブレットが壊れた」「タブレットによる生徒間のトラブル」

これらをすべて、教員にさせてしまおうと考える教育委員会や知事・市長、または、自ら進んで引き受けてしまう教員に問題があります。

生徒間のトラブルで、担任などが保護者や児童生徒の間に入って話をしなければならないのは、仕方がないとしても、タブレット端末の管理を教員がしなくてはならないのはなぜなのか。そこに合理的な理由はありません。外部委託する予算をつければ済む話です。

 

学校現場は、一事が万事、この調子。何でも教員の仕事にしてしまう教育委員会と、自ら引き受けてしまう「お人よし」の教員に問題がある。

(教員も保護者も、「何でもできる学校の先生」でありたい、そうあってほしい、と思っている節があるのは事実)

外部でできることは外部へ。これができなかった結果、今の「ブラック化」があり、教員になろうとする人を減らしているのではないか。

以下の対策1と2は、このブラック化を少しでも改善することで、結果的になり手不足の解消を目指すものです。

対策1 仕事の「外注」

現在、コロナ禍も相まって始まっているのが「外注」です。

例えば、音楽で使うリコーダーの注文は、QRコードを読み取って、保護者がそれぞれ申し込むことになった。学校で行うことは、案内文書と、出来上がったネーム入りのリコーダーの配付だけ。

それまでの、

 ・集金(過不足確認、児童生徒の出し忘れ確認も含む)

 ・申し込みが済んでいない保護者への電話

 ・業者に電話してお金を取りに来てもらう(もしくは銀行振込)

などの手間が一気に省ける。学校徴収金や清掃活動などについても、同じ要領で外注できれば、仕事量が減ります。仕事が減れば、本来教員が取り組むべき仕事に力を注げます。

そうなれば、きっと教員の「仕事としての魅力」が増すのではないでしょうか。

 

対策2 教員免許「不保持者」の採用

「外注」とは違い、「内注」のできる可能性も探っていく必要があります。

実は、教員免許が必要のない仕事は、学校にはたくさんあります。

実際に、最近増えている「スクールカウンセラー(SC)」「スクールソーシャルワーカー(SSW)」は、いい例。

学校現場や教員の考えを理解し、保護者や児童生徒と熱心に関わろうとする姿にはいつも頭が下がります。教員免許がなくても、保護者や児童生徒と適切に関わることはできるのです!

ほかにも、「採点」「入力」「印刷」「給食指導」「清掃活動」「部活動」「卒業アルバム制作」「安全点検」「修繕」「指導要録作成」などの業務は教員免許との関連が不明であり、必ずしも教員が担う必要はありません。

しかし、個人情報などの兼ね合いから、外注が不適切な場合もあるだろうし、現場でこそ、頼みたい仕事もあります。そこで、教員免許を持たない人を学校現場に採用することが、効果的であると考えます。

それは、アルバイトの高校生でもよいし、教員を目指す大学生でも構わない。退職した元教員でもよいし、元保護者でもよい。とにかく、教員免許保持者だけに絞らず、多様な人材による「学校運営」が、結果的によい教育を創ることになるのではないか。それにより、遠回りではあるが、教員不足が解消していくのではないか。

働く側にとっても、児童生徒や保護者にとっても、学校がより魅力的な場所になることを切に願っています。

(過去の記事「学校に受付係を」も参照してください。)

教員の働き方改革 提案3~朝の会(ST、HR)と清掃の見直し~

前回の記事では、教員の開店準備、閉店作業の時間がないことを紹介し、早番・遅番を提案しました。(下記参照)

https://blog.hatena.ne.jp/Yaniy1731/yaniy1731.hatenablog.com/edit?entry=4207112889923693208

 

今回は同じ問題意識から、別の提案です。

 

生徒の主な活動内容(例)

登校   8:00~8:20

朝の会(ST)8:25~8:35

1時間目  8:40~9:30

2時間目  9:40~10:30

3時間目 10:40~11:30

4時間目 11:40~12:30

給食  12:30~13:10

清掃  13:10~13:25

昼休み 13:25~13:50

5時間目 13:50~14:40

6時間目 14:50~15:40

帰りの会(ST)15:40~15:50

下校完了 16:05

(部活動や行事に向けた活動などあれば、最長で18:00)

 

一般的な中学校の日課です。細かい部分は地域によって異なるとは思いますが、大枠では変わらないはずです。

 

この日課で、前に準備時間、後に片づけ時間をとったとしたら、

教員の勤務開始は7時45分~17時が想定されます。(部活動はひとまず考えません)

勤務時間8時間に休憩時間45分を含めた、8時間45分の中に、収まりません。

 

何を削れるか?

この中から削れるものは、清掃活動と朝の会(または帰りの会)だと、私は考えています。

授業時数は削れません。(むしろ、現状では足りません)

給食の時間を、各家庭お弁当にすれば準備時間を省けますが、保護者としては給食があると嬉しいです。(中学は給食が無い地域もあると思いますが、私が住む地域は中学もあります)

昼休みを削ると、子どもたちが暴動を起こします。息抜きの時間は絶対に必要です。

 

清掃活動とは

みんなで協力して、自分たちで使う場所をきれいにすることは大切です。

自分たちで汚さないようにしようと思うし、学校によっては他学年との交流の場として活用していることもあります。

しかし、令和の時代になったのに、昭和と変わらない風景が広がっています。ほうき・ちりとり・雑巾を使って全員での掃除です。

今時、掃除機を使わないなんて、ナンセンスだと思いませんか?

少ない人数で、早く、よりきれいになる道具が身近にあるのに、なぜ使わないのか疑問です。

 

まず、清掃活動は思い切って全部無しにします。教室や廊下などの清掃は、当番制にして、全体の4分の1~5分の1の人数で帰りの会後に、短時間(10分程度)で取り組みます。

15分が10分になっただけ、のように見えますが、この10分は部活動の時間と重なるので、実質15分の削減になります。(清掃当番は部活動の参加に10分遅れる)

役所などのように、清掃員を雇えるなら、もっとよいのですが・・・

 

朝の会は必要か??

朝の会は、STやHR(ホームルーム)などと呼ばれる時間です。

出欠・健康状態の確認、一日の日程などの連絡を伝えることが主な目的です。

出欠のデータは調査書や通知表にも載る大切なものですし、健康状態を毎日観察することは、児童・生徒を預かる学校としては、必ず行わなければならないことです。しかし、担任でなくてもよいのでは、と思います。

もし、朝の会を無くすとしたら、出欠・健康状態の確認は、1時間目の授業の担当者が確実に行います。その日の連絡は事前に後ろ黒板に書いておいたり、前日に伝えたりします。

また、これからはタブレットなどを使い、必要な連絡をすることも可能になっていくでしょう。ますます、朝の会の必要性は低くなっていきます。

 

ただし、小学校では、朝も帰りも必要だと思います。朝、その日の連絡を聞いて一日の活動に見通しをもったり、帰りに次の日の持ち物を確認したりと、安心して過ごすことにつながるからです。

小学校は45分授業、授業間の休み時間が5分なので、清掃の時間がなくなるだけでも、開店準備・閉店作業の時間に余裕が出ると思います。

 

まとめ

メディアの報道は、部活動が諸悪の根源であるかのように伝えます

しかし、部活動には、確実に良い面があります。安易になくしていいとは思いません。

今回の提案では、朝の会+清掃活動で、どうにか30分を生み出せました。

今まで当たり前だった児童・生徒の活動内容を、そろそろ見直すべきではないでしょうか。