学校現場×特別支援×働き方改革について考えるブログ

現役教員にしか書けないことを・・・。

教員の「残業」と「休憩時間」について考える

教員調整額を4%から10%に?というニュースをきっかけに、

教員の「残業」と「休憩時間」について考えます。

 

1 教員調整額4%と10%の意味

 教員は残業代が出ない代わりに、「教員調整額」が4%自動的に支給されます。

 一日の勤務時間を(正確には7時間45分だが、計算を楽にするために)8時間、勤務日をひと月当たり20日とすると、

 8×20×4÷100=6.4

 約6時間分の「残業代」が自動的に給付されています。

(※ あえて「割増率」は無視。割増率を計算に入れると6.4より小さくなります)

よって、「教員調整額4%」=「まぁ大体、ひと月の残業時間は6.4時間くらいだよね」という意味になります。

 

 6.4時間の残業時間は、一日当たり約30分!「んなわけないだろぉ」という全国の教員の叫び声が聞こえてきそう。

 

 朝、児童生徒が登校する前から出勤している教員は、朝の分だけでこの「調整額」以上働いています。部活動の指導を入れると…。

 

 これが10%になるとのニュースが流れました。うれしい!けれど。

 8×20×10÷100=16

 つまり、

「教員調整額10%」=「まぁ大体、ひと月の残業時間は16時間くらいだよね」

 これでも、一日当たり1時間にもなりません。15%くらいつかないと、割に合いませんよ。

 

2 教員の「休憩時間」の実際

  労働基準法第34条で、労働時間が 6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分 8時間を超える場合は、少なくとも1時間の休憩を与えなければならない、と定めています。

 

 当然、教員にも(形式上)休憩時間は設定されています。

私の勤務する職場は、

 「児童生徒の昼休憩の30分+勤務時間終了の少し前の15分」

と定められています。

 

 余談ですが、給食の時間は「給食指導」という名の勤務時間です。

 教員は、昼食を自由にとる権利が剝奪されています(笑)

 さらに、給食費はきちんと取られます。

(同じ額では外でランチなんて食べられないので、ありがたいといえばありがたい。)

 

 話を戻します。結論を先に言うと、休憩時間とされる45分に教員は休憩できません。中には、「今は休憩中だから」といって児童生徒と接しない教員もいる、と聞いたことがありますが、そんな人は稀。普通は相談があれば聞くし、宿泊行事の実行委員や、各種委員会などで児童生徒を集合させている場合もあります。

 

 この名ばかりの「休憩時間」に働いている分は、教員の「残業時間」調査に含まれていません。

つまり、定時に出勤し、定時に帰っていても、45分の残業をしている、と言ってもよいのではないでしょうか。

 

まとめ 「教員調整額」は圧倒的に足りない!

 4%から10%になるのは大変ありがたい。感謝します。

 しかし、それでも焼け石に水。まったく実態に合いません。

 だからといって、財政上、実際の残業時間に対して残業代を支給することも難しい。あとは仕事量を減らすしか、手段はありません。教員という職業の魅力を高めるためにも、学校としての活動内容を精選し、「生徒が学校にいる時間を減らす」ことが重要だと考えています。

 

 ☆おまけ 

と、もしヤフーニュースに以上のようなことを書きこめば、教員以外の人からは、「それでも給料たくさんもらっているだろ」「教員として内部から変えればいいじゃないか」という返信が返ってきそうです。(実際そんな雰囲気)

 今の給料が適正なのか。教員の中でも意見は分かれます。

 また、例えば、私が「掃除の時間を無くそう」というと、「自分で使う部屋を自分で掃除することで、大切に使おうとする心を育てられる」と反対されます。部活動も同じ。活動そのものに意義はあります。まずは教員の中に賛成者を増やしていかなければ、教員調整額がどうなろうと、何ら変わらないなぁと思う、今日この頃。