私は「すべての児童生徒に特別支援教育を!」と考えています。
しかし、今回は、一般的な意味で、「特別に支援が必要な生徒」の保護者の考え方について、大きく2パターンに分けてまとめました。
1 「特別な支援」を強く求める保護者
例1「うちの子は・・・・・・という特性があって・・・。」
例2「〇〇は苦手ですから、・・・してください。」
私は基本的に、保護者の方をリスペクトしています。児童生徒と一番長く時間を過ごし、誕生から成長を見守ってきて、最もその子を理解しているだろうと思うからです。
しかし、理解していることと、その子の成長に何が必要かを考えることは、別の問題です。
上の例1・2にあるような言葉を受けて、学校側が障害のある児童生徒に対して、特別に何かを認めることは少なくありません。
しかし、それがその子の成長につながるのか、教員はしっかりと考えて保護者と相談する必要があります。ときには、保護者を説得しなければならない場面もあるでしょう。
相手を尊重しつつ、成長のために何が必要か、保護者とともに知恵を出し合っていく、という姿勢が大切です。
2 「他の子と同じように扱ってほしい」(支援しなくていい)という保護者
例3「特別支援学級の生徒は部活動を選べないのですか?」
例4「家ではできているので、学校でも同じようにさせてください。」
障害があり、できないことがあることは、頭では理解していても、心のどこかで「他の子と同じもの」を求めてしまう保護者もいます。そんな保護者にはどのように接したらよいのでしょうか。
まず、この例3・4のような保護者の場合、自分の子どもの障害を受容できていない、もしくは、受容しきれていないことが考えられます。
「本当はできるはずなのに」「あと少しでできるのに」
というのはこの典型です。
多くの児童生徒を見てきている教員は、他の生徒と比較して、いい意味で「成長を予測」することができます。
長い期間、家庭でその子を見てきた保護者は、その子の成長の可能性を過度に期待してしまうことがあるため、教員の考えとギャップが生まれてしまうのです。
家庭で、学校でできない工夫や環境が整えられている場合や、
学校側で、支援しないこと(特別扱いしないこと)が児童生徒の成長につながらない場合があります。
保護者の障害受容は難しい問題で、一筋縄ではいきません。教員側としては、保護者が受容できるように、非常に粘り強い対応が求められます。
教員は、冷静にこちらの考えを伝えつつ、
障害を受け入れられない保護者のことを「受容する」つもりで、「今はまだ受け入れられないんだな」と考え、心を広く接しましょう。
まとめ 結局は「その児童生徒」を見ること、成長を願うこと
障害があるとか、ないとか。
家族構成がいびつだとか、そうでないとか。
話が得意とか、まったく話せないとか。
100人いれば、背景や特性も100通り。誰にでも特別な配慮は必要だし、誰でも成長する権利があります。
私が「すべての児童生徒に特別支援教育を!」と考えるのは、こういった理由からです。
緘黙、色覚特性、発達障害、知的障害など、診断基準のあるものだけでなく、児童生徒のさまざまな特性をきちんと捉えた上で、
成長を促したり、指導したりする「教育のプロ」。それが教員です。
ただし、教育は保護者も巻き込んで行うもの。上の2パターンをふまえて、保護者と良い関係を創り、児童生徒の成長を共に見守っていきましょう!!